徹底比較 │ 「8595F」と「8595H」

2つの定番モデル、「8595H」と「8595F」を徹底比較

スローウエアライオンのエンジニアブーツはブランドの主軸、レースアップブーツと同時期2008年にリリースされた、シャフトにファスナーを装備したエンジニアブーツ。通称8595シリーズです。

「8595H」と「8595F」は同じ593木型を使用しているのでアッパーは同デザインですが、アウトソールやアッパーのレザーが違い、異なるコンセプトに仕上がっています。593木型は日本人の足を一番良く知っている熟練の職人達と試行錯誤を重ね、日本人の足型に合わせて開発した木型ですので、どちらのモデルも素直な履き心地。この2つのモデル、一体どちらを選べばよいのか、それぞれの違いを比較しながら解説していきます。

アウトソールの違い

見た目や履き味に違いが出るアウトソール。8595Hのタンクソールと8595Fのクレープソール。この2つのソールは性質は異なります。


Vibram #100

ワークブーツの定番とも言えるVibram #100。グリップ力は文句なく、高い耐磨耗性を誇り、衝撃吸収力も強く、迫力のルックスで指示が高いです。また、ハードな見た目に反して履き味は柔らかく、スタンダードなソールとして人気があり、クッション性、耐久性に優れたバランスの良いソールです。バイクの押し引きなどでグリップ力を実感できます。


Vibram Fitter (MORFLEX)

ヒールとソールが一体型のユニットソール。通称クレープソール。クレープソールと言えば波型パターンのVibram#4014が馴染み深いですが、8595Fエンジニアブーツにはボリューム感を出すために厚みのあるFitterを採用しました。見た目はVibram#2021とほぼ同じですが、MORFLEX配合のFitterを採用することで耐摩耗性が向上しました。

また、柔らかくトラクッション性に優れソール自体も軽量。長時間の使用でも疲労度が少なく快適です。さらに底半分(ヒール箇所)にはレザーハーフスリップを挟み込むことで衝撃吸収を高めボリューム感を出し、迫力のあるルックスに仕上げました。好みの部分ではありますが、踵がない一体式のソールなので、バイクの操作性においても快適です。モーターサイクルブーツとしての機能も十分に持ち合わせている人気のソールです。

レザーの違い

SWLでは、ブーツに適した2mm以上の厚さにすいてもらった革を使用しています。長く愛用して経年変化を楽しむには革の厚みが必要だからです。ただ厚みがあるだけではなく「肉厚でありながらしっとり柔らかい」ことも重要視しています。

ホーウィン社クロムエクセルレザー(画像左側)

ホーウィン社は100年以上続くアメリカ・シカゴのタンナーです。SWLでは厚み2mm強をオーダーして使用しています。長く愛用して経年変化を楽しむには革の厚みが必要だからです。厚みがあり油分を含んでいるので柔らく程よく伸び、かつ耐久性もあります。

クロムエクセルレザーはキズつき易い繊細な革でもあります。ブラッシングするとある程度のキズは消えてきます。深いキズは茶色くなって残ります。これが「茶芯」です。革の表面だけを染める「丘染め」なので、キズがつくと革本来の色が出てきます。芯まで染め上げる「芯通し」だと、この茶芯が楽しめないので、経年変化を楽しむためにクロムエクセルレザーを選ぶブーツ好きの方が多くいらっしゃいます。キズがつき易いですが、アジがが出やすく茶芯を楽しめる、そして馴染みやすさが選ばれる理由です。SWLでは、BLACK、BROWN、BURGUNDYを採用しています。

ホーウィン社カリコスエード(画像右側)

カリコはホーウィン社のスエードレザーです。通常のスエードは革を何枚にも漉いて薄く仕上げますが、カリコスエードは1枚の革を裏返しで使っている為、厚みがあり裏側は滑らかで足入れがスムーズなのが特徴です。カリコスエードは、その特性である傷に強いことからハードワークブーツに古くから採用されてきました。SWLではSANDを採用しています。

プルアップレザー

プルアップレザーは、オイルドレザーの一種です。通常のオイルドレザーより油分が多く、内側から革を押すと油分が移動して表面の色目が明るく変化します。厚みは2mm強を使用。長く愛用して経年変化を楽しむには革の厚みが必要だからです。肉厚でもオイルを含んでいるので柔らかく、それでもしっかりとコシがあり、タフな環境にも耐えられます。SWLではBLACK、BROWNに加え、他ブーツブランドではあまり見かけないREDも採用しています。

2つのモデルに共通する主な基本スペック

ステッチダウン製法

 頑丈さと履き易さの両方を兼ね備えたダブルステッチダウン製法を採用しています。ワークブーツに適しているといわれる伝統的な靴の製法で、屈曲性が高くしなやかな履き心地が特徴です。

“UNIVERSAL”ロゴファスナー

 長きに渡り、アメリカのワークウェアの部材を支えてきた歴史ある“UNIVERSAL”ロゴファスナーを採用しています。そのクラシックなデザインは、デザイン性・ファッション性にとても優れています。さらに、ファスナーのカラーはアンティークシルバーで統一しています。

 


おすすめは?

エンジニアブーツらしさを重視するなら8595Hがおすすめ。

#8595H
クロムエクセルレザーはキズがつき易いですが、アジが出やすく茶芯を楽しめ、そして馴染みやすくビンテージブーツのような経年変化を楽しめます。純粋にエンジニアブーツらしさを楽しみたい方におすすめするモデルになります。
タウンユースで気軽に愛用するなら8595Fおすすめ。

#8595F
8595Fは軽くてクッション性に優れているクレープソールを採用。ハードな印象のエンジニアブーツも、クレープソールなら見た目も軽快な印象を与えてくれます。タウンユースでも気軽にエンジニアブーツを楽しみたい方におすすめするモデルになります。

おすすめは?

エンジニアブーツらしさを重視するなら8595Hがおすすめ。

クロムエクセルレザーはキズがつき易いですが、アジが出やすく、茶芯を楽しめる、そして馴染みやすくビンテージブーツのような経年変化を楽しめます。純粋にエンジニアブーツらしさを楽しみたい方におすすめするモデルになります。

タウンユースで気軽に愛用するなら8595Fをおすすめ。

8595Fは軽くてクッション性に優れているクレープソールを採用。ハードな印象のエンジニアブーツも、クレープソールなら見た目も軽快な印象を与えてくれます。タウンユースでも気軽にエンジニアブーツを楽しみたい方におすすめするモデルになります。

最後に

ブーツオーナー様の趣味趣向で、オーナー様に相性の良いアウトソールや製法を選んでください。ちょっとしたカスタムブーツを選ぶような楽しさがそこにはあります。長く付き合える相棒が見つかるはずです。

また工場、専門の修理屋さんとも提携し、製品同等のクオリティの高いカスタムワークをおこなっています。特にアウトソールは自動車やバイクのタイヤのように消耗品ですので可能な限りのサポートをいたします。

ワークブーツは永く使っていただいてこそのモノ。お客様の愛用されているワークブーツを、日本人の職人技術でしっかりとなおします。
 
 

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