履き込みレポート

8958BC茶芯レザーオックスフォード

 経年変化の楽しみを伝えたい。そんな単純な思いからスタートした企画は、おかげさまで第四弾。 ベテラン久木田 はOB-8958BCのGREENをチョイス。 1980年代後半?1990年代前半を渋谷で過ごした渋カジ世代ど真ん中の、直営店「Tools infinity」のディレクター。 渋カジ世代といっても、短靴系のワークブーツを気軽にさらっとスマートに履きこなしちゃう大人の男です。実は、第二弾経年変化レポートのクラッシックオックスフォード8958でもレポートを担当したオックスフォード好き。 本人曰く、気ままさを優先に、単純に履きやすいからとのこと。

今回は、品番の語尾にBC付き。BCは「ブラウンクラスト」の事で俗に言われる“茶芯”の革を意味してます。 染料が奥まで浸透していない為、履き込むことで茶色が現れる革です。 今回の色目はブリティッシュグリーンなのでツヤ感を大事にして茶芯レザーの変化を押さえながらが目標。 大人の目標です。ドレスワークで仕上げてください。 期待の中、企画はスタートした。

スタート1ヶ月の使用頻度はショップでの勤務中に週3日程度。 今回はワークブーツというよりドレスシューズに近い履きこなしが目標。 愛用して間もない段階からしっかりと光沢が出るよう磨きあげるメンテナンスを決行。 汚れ落としの為,ブラッシングとツヤ革専用のシュークリーナーで表面の汚れを落とす下準備。 次に今回はワックスクリームで艶出し。クロスに取ったワックスをつま先を中心に塗り 少しずつ水で伸ばしながら、とにかくピカピカになるまで磨きあげます。このままワックスクリームを使って光沢をキープしつつ、茶芯がうっすら出てくれればと思います。

履き始めてから3ヶ月目の1月。 オイルケアをして柔らかくしたくないのでブラッシングだけのメンテナンスを継続中。 つま先にどうしても自転車に乗るときに擦ってしまい芯の茶色が出現。 レポート期間は自転車禁止。。原宿でのお仕事は近場でちょっとした打ち合わせなど自転車は必需品。 ドレスシューズに近い履きこなしが目標と豪語した手前、対策を考えなければ。

履き始めてから4ヶ月目の2月。 実は自転車に乗る以外でもいろいろな所でつま先を擦ってしまい、 お気に入りのグリーンが剥げ落ちて無残な姿になっていました。なんとか元のきれいなグリーンに戻さなければ。 そこで、一般的な靴クリームは無色ですが、コロンブス社Boot Blackから発売されている グリーンのカラークリームを補色のために塗り込み、ブラッシングで馴染ませることを数回試す。 かなり理想に近い仕上がりになり、光沢も戻ってきた。 これで、自転車も乗れるし少しくらいのハードワークも気にしない。

履き始めてから5ヶ月目の3月。 前回グリーンのカラークリームを使い補色したブーツは、 薄っすら地の色が現れて茶芯ブーツの経年変化になってきた。 メンテナンスは全体をブラッシング後、 気になるところにカラークリームで補色して最後に艶出しWAXを塗りこみピカピカに磨き上げる。

履き始めてから6ヶ月目の4月。 革に徐々にシワが出現。特に左足のトゥ部分のシワが目立ってきた。 ブーツオーナーのライフスタイルに合わせて刻まれていくシワには唯一無二のブーツに育っていく喜びがある。 だが、今回ベテラン久木田はドレスワークテイストに仕上げていくのが使命。 しばらくの間、保管時はシューツリーを入れてシワを伸ばす対策を施してみる。

履き始めてから8ヶ月目の6月。 最近は雨の日も多くなってブーツの着用も控えめ。この梅雨の間にしっかりメンテナンスしておきます。 まずは紐を全て外しタンの部分に挟まっているカビの原因になることもある細かいホコリやゴミを丁寧にブラシで掻き出し、 全体をブラッシングした後にコロンブス社BOOT BLACKのブーツクリームを全体に染み込ませます。 これにより革に栄養を与ることができカビも抑えられ、艶も出てきます。 最後に柔らかい馬毛の仕上げ用のブラシで磨き上げて出来上がりです。

 経年変化に完成はありません。もちろん、メンテナンスに正解はありません。最初は、純正のスペックを楽しみ、趣味趣向に合わせてカスタムしていくのも楽しみです。

 経年変化を楽しむ。がんばるのではなく、楽しんでください。このレポートは、そんな楽しみの少しでも参考になれば幸いです。