履き込みレポート

8595Hクロムエクセルレザーエンジニアブーツ

 経年変化の楽しみを伝えたい。そんな単純な思いからスタートした企画は、おかげさまで第三弾。企画スタート当初から登場しているいわば玄人スタッフのナカノ。100年以上、歴史を積み重ねているタンナーHORWEEN/ホーウィン社のクロムエクセルレザーを、ヴィンテージ感のあるエイジングにすることを目標に、真っ向勝負。とにかく、一年中ブーツしか履かないブーツ好きの彼が、どれだけ酷使して育ててくれるか。ブーツマニアな一面も登場するか。そんなことも楽しみで企画はスタート。

今回は、クロムエクセルレザーの経年変化レポートなので、品番OB-8595H、クロムエクセルレザー エンジニアブーツの色目はブラウンをチョイス。

アメリカの老舗タンナーHORWEEN/ホーウィン社のクロムエクセルレザーを使用して、 日本の職人のオンリーワンの技術を融合させたジャパンメイドのエンジニアブーツ。 クロムエクセルレザーはかなり厚手ながら柔らかく、革を曲げると色が薄くなる「オイルが走る」という現象をみせる革。 ある程度の柔軟性があるためファーストタッチから履きやすい。 ソールは、高い耐摩耗性を誇り、衝撃吸収力、グリップ力も文句なしの、 VIBRAM(USA)社製 #100。通称、Montagna。 シャフトの内側には着脱の機会が多い日本の文化に合わせてファスナーを装着。 玄人ナカノも数足保有するエンジニアブーツの中でもお気に入りなスペックの1足。

 

履き始めてから2ヶ月経った、11月。 ほほ毎日履いているとはいえ、まだ、2か月で 「これ数カ月の味じゃないでしょ! むしろ数年経ってから出るエイジングでしょ!」と思うような変化が。 実はブーツオーナーが意図的に折り曲げてシワを作り込む。ちょっと強引な味だし。 手入れはブラッシングで埃を落とすのみ。 通常より油分が多い革なので、数ヵ月はブラッシングのみで様子を見るつもり。

履き始めてから3ヶ月経った、12月。 おおよそ10時間ずつ、週に6回履いている。メンテナンスは、未だブラッシングのみ。 この擦れ感は? 無意識に足の内側を擦ってしまうブーツオーナーの歩き癖がエイジングとしてブーツに現れた。 もうここまで来ると穿き込んだデニムやチノパンにも負けないバランス。

履き始めてから4ヶ月経った、1月。 4か月経ってはじめて、 COLUMBUS社製のツヤ出しワックスで軽くメンテナンス。 「この光沢をお酒のつまみに眺めています」って、やはりブーツマニアな一面、出ちゃいました。 またエイジングを加速させようと、ブーツオーナーはアキレス腱伸ばしの要領の動きで意図的にバンプにシワを作ることを実行。 丸みのある大振りのシワが出来てます。

履き始めてから5ヶ月経った、2月。 メンテナンスはブラッシングのみ。 ヘビーローテーションで約半年近く経過したが、1カ月?3ヵ月で一気にアタリなどの変化が出て、 その後は革自体が柔らかくはなるが、見た目は大きく変化しないという結果。 見えない部分では、内側の毛足も潰れてきているので足入れも良好。 今回ブーツオーナーは、意図的に大振りなシワを付ける作業も実行しているのでバンプのシワの味はちょっと荒業。 もちろん、週末のみや週2回程度の使用頻度の方の場合はゆっくりなスピードで変化が出る個体差はあります。

履き始めてから7ヶ月経った、4月。 はじめて、きっちりとメンテナンス。 手順はブラッシングで埃を除去⇒クリーナーで汚れ落し⇒レザークリスタルを多めに塗りたくる⇒ 風通しの良い所で一日放置⇒ブーツクリームで薄くコーティング&光沢出しです。その結果、見事に綺麗になり過ぎました。 「 おかげで水も弾く程のツルツルお肌」ってまるで女性のお肌のような表現。やっぱりブーツマニアです。

履き始めてから10ヶ月経った、7月。 7月になり気温による革の乾燥が主な要因かと思われるオイルがはしる現象が発生。ブーツオーナーの足の形状で濃淡出てます。 ブーツオーナーだけの相棒にまた一歩近づいた様子。 この味を体感した方は、きっとこのオイルが走るという魅力から抜け出せなくなること間違いなしです。

最終月
8月からほぼ毎日愛用するヘビーローテーション。 革の油分は少なくなりムラ感が出てた来た。 最終日の前日、1年間の労いの意を込めて、ホースヘアーブラシを軽くブラッシング。 一言二言ブーツに優しく語りかけた光景が目に浮かぶ。ブーツフェチなオーナーが何を話しかけたかは秘密のようだ。 画像の光沢。。一年間の酷使で擦れなどをイメージしたが、実際の変化は『艶』だった。

結果として、クロムエクセルレザーはその時期、気温、湿度などで変化が非常に出やすいことを感じた。 変化を楽しみたい方にはお勧めしたいレザーです。

 ブーツオーナーになる喜び。ブーツは履く人間の生き方や趣味が素直に反映されます。 もちろん、メンテナンスに正解はありません。経年変化に完成もありません。 経年変化を楽しむ。がんばるのではなく、楽しんでください。このレポートは、そんな楽しみの少しでも参考になれば幸いです。